不全麻痺症例

不全麻痺症例

不全麻痺症例への足こぎ車いすの応用

 図4は左下肢のBrunnstrom stage がⅡの脳梗塞左片麻痺患者(症例NI 77 歳女性)における歩行、通常車いす走行、足こぎ車いす走行を示したものです。この症例NI は、短下肢装具を装着のもと4点杖を使用して部分介助のもと歩行できますが、自立した歩行は不可能です。図4-b、c は、症例NI において3 秒間通常型車いすと足こぎ車いすを走行させたときの移動距離をビデオ画像から比較したものです。足こぎ車いすの移動距離は通常型車いすの約4.7 倍と大きな差があります。しかも、数分以上の走行ではその差は十数倍にもなり、足こぎ車いすを使用することによって、実用的な速度で長距離移動が可能となることが判明しました。

脳梗塞左片麻痺者への足こぎ車いすの適用

図4 脳梗塞左片麻痺者(brunnstromstage Ⅱ)への足こぎ車いすの適用

歩行の状態(a)、および通常車いす(b)と足こぎ車いす(c)の3 秒間走行の比較
足こぎ車いすの移動距離:通常型車いすの約4.7 倍

足こぎ車いす駆動時の大腿屈伸運動の加速度パターン変化

足こぎ車いす駆動時の大腿屈伸運動の加速度パターン変化

図5 左右下肢による足こぎ車いす駆動時の角加速度計測システム(a) と脳出血片麻痺における訓練効果(b)S の値が小さいほど左右の駆動加速度パターンが近似していることを示す。

 図5-a は、足こぎ車いすを自転車の室内練習用ローラーに乗せ、走行することなしにペダル漕ぎ運動時の両大腿屈伸運動の加速度を計測するシステムです。加速度センサーは各大腿の外側上顆直上皮膚に貼付し、その出力は発信器を介して加速度計測装置に無線で送信され解析されようになっています。
 図5-b はBrunnstrom stage Ⅳレベルの脳卒中片麻痺者4 例のうちの代表例の結果を示します。訓練前は左右の角加速度の360 度回転時のパターンに大きなずれがありますが、1 日20 分以上で1 週間の走行訓練をおこなった結果、角加速度パターンの左右差は明らかに減少しているのが認められます。これまでの研究で(図 参照)4 週間の足こぎ車いすでは 膝伸展トルクが増加しないことが判明していますので、1 週間の足こぎ車いす訓練では筋力の増加が起こっていることは考えられません。我々は、完全片麻痺者での足こぎ車いす走行でCPGの賦活効果があると考えており、この場合もCPG が賦活されることによって、ステッピング運動を行う際の左右下肢各筋の筋収縮パターンが空間的にも時系列的にも正常パターンに近づいて行っており、それによって効率的なペダル駆動が可能になってきたものと推測しています。

 

出典:足こぎ車いすとリハビリテーション2012
※東北大学医学系研究科半田康延グループの研究に基づき掲載しています。効果には個人差があります。

足こぎ車いす出張試乗

足こぎ車いすお問合わせ

足こぎ車いすよくある質問

PAGE TOP