足こぎ車いす訓練の運動機能に及ぼす効果
我々は見守り程度で歩行が可能な片麻痺者で、足こぎ車いす走行練習前と走行練習終了直後の歩行速度を調べました。その結果、足こぎ車いす自力走行直後の歩行速度が走行前より増加し、また歩容も改善することを認めています。
さらに、1 日15 分の足こぎ車いす自力走行訓練を脳卒中片麻痺患者6 名、外傷性脊髄損傷による左下肢麻痺患者1 名の計7 名を対象として週5 回、計4 週間実施しました。
その結果、図1に示すように、4 週間の訓練期間では健側、麻痺側ともに膝伸展力は増加しないものの、足こぎ車いすの自力走行速度が増加するとともに、歩行速度も有意に増加することが判明しました。
これらのことより、足こぎ車いす訓練後の歩行速度の増加は、先にのべたように、筋力に依存するものではなく、足こぎ車いす駆動で交代性の両下肢のステッピング運動を繰り返し行うことで、CPG を含む中枢神経回路網が賦活され、歩行に必要な筋収縮パターンがより効率的に得られるようになったことによるものと推察しています。
出典:足こぎ車いすとリハビリテーション2012
※東北大学医学系研究科半田康延グループの研究に基づき掲載しています。効果には個人差があります。